「気持ちいぃ〜」目覚めを手に入れたい!
連載「睡眠」

 私たちヒトは人生の3分の1の時間を「睡眠」で過ごすといいます。寝ている間に身体及び脳の疲れを休息させ、修復再生させているのです。したがって、健やかな心身を維持するためには眠る必要があるということ。にもかかわらず、日本人の5人に1人は不眠で悩んでいるという調査報告があります。また、米国睡眠障害研究委員会(Wake Up America)の報告では、チェルノブイリの原発事故もチャレンジャー号の墜落事故もスタッフの睡眠障害(不足)の影響は否めないとも。
人には本来24時間の睡眠、覚醒リズムが存在することが分かっています。しかし、現代の24時間社会に生きる私たちは、交代勤務を始め、より業務作業量や勉強量をこなすためには、睡眠時間を削ってそれらの目的を果たそうとしなければならないのが現状。医療従事者はその際たるものといっても過言ではないでしょう。最近の「睡眠障害による翌日の日中の労働力への影響や、勤務中における集中力の低下や不注意により発生した事故などによる損失を計算した報告」では、なんと“我が国の経済に及ぼす1年間の損失額は3兆5千億万円”にものぼるというのです。
各調査研究からも明らかなように、睡眠はヒト、とくに医療従事者においては非常に重要な位置を占めるといえます。たかが「眠り」、されど「眠り」。快適な睡眠は、心身の健康、ミスのない仕事、そして人生の3分の1に快適をもたらすといえるでしょう。このページではそんな「睡眠」のメカニズムから上質な睡眠を手に入れる極意を毎回連載していきます。

第3回睡眠の基礎知識〜その2

今回は睡眠を特に体内時計との観点から理解していきましょう。

1.睡眠は異なる2種の法則で調節されています。

人間の睡眠は、大別すると2つの機構(メカニズム)で形成されており、状況に応じて相互に関連しながら、睡眠の質・量およびタイミングを制御しているのです。

  1. 時刻とは無関係なホメオスタシス機構による調節

    先行する断眠時間の長さによって、睡眠の質と量とが決定されるもので、時刻非依存性の調節方式あるいはホメオスタシス性の調節方式と呼んでいます。
    つまり、
    疲れたから眠る = 恒常性維持機構(ホメオスタシス)
    ⇒ 活動中に酷使された脳を積極的に休ませる


  2. 時刻による概日リズム機構による調節

    睡眠は1日を単位とするリズム現象であって、脳内に存在する生物時計に管理されています。これをサーカディアン(概日)性の調節方式あるいは時刻依存性の調節方式と呼んでいます。
    つまり、
    夜になると眠くなる = 体内時計機構
    ⇒ 疲れていなくても、いつもの就寝時刻になると眠くなる


2.体内時計と睡眠の関係

  1. 体内時計のしくみ
    1. 眼などから入った光の信号は、視神経 → 視交叉上核 → 上頸神経節 → 松果体に達します。
    2. 松果体では、睡眠を促すホルモン物質「メラトニン」が産出されるのですが、 光を感知すると、その分泌が抑制されます。
    3. 夕方〜夜になるとメラトニンの分泌が始まり、やがて全身の臓器に行き渡って 夜間休息体制(睡眠)をとります。



      ⇒ したがって夜、部屋の灯りが明る過ぎるとメラトニンが分泌されにくく、寝付けない原因となります。

  2. 体内時計から考えるベスト睡眠を入手テクニック4
    (1)メラトニンの最大分泌時に就寝する。
    メラトニンの分泌は、起床時からおよそ14時間後に始まり、その2時間後に最大に達するとされています。例えば午前7時に起床した場合、メラトニンの分泌量は午後11時頃に最大に達します。この時に眠り始めるとスムーズに入眠できます。
    つまり、
    午後11時就寝 → 午前7時起床 = 睡眠時間8時間
    ⇒ 睡眠時間は8時間がベストということ??

    (2)朝の光を浴びる時刻で就寝時間を調節する。
    体内時計の働きにより、朝、光を浴びてから一定時間(14〜16時間)が経過すると、深部体温(体の内部の温度)が下降し始め、メラトニンの分泌量が上昇し始めて眠くなります。すなわち朝、光を浴びる時刻が、その日の眠りの時刻を決めるのです。


    (3)睡眠と体温の関係から調節。
    以下は21歳、健康男性の1晩の睡眠と体温の変化をグラフにしたものです。指先体温が上がり始めると徐々に深部体温が下がり始め、睡眠に入ることがわかります。その後、目覚める2〜3時間前に最低体温となり、やがて上昇して目覚めの準備をし、目覚める頃には活動するために必要な体温に戻っています。

    つまり、冷え性のヒトは
    表面体温が低い ⇒ 深部体温が下がりにくい ⇒ なかなか眠れない



    カラダや寝具を温める ⇒ 深部体温が下がりやすい ⇒ 眠りやすくなる


    (4)体内時計のズレについても知っておく。
    時間の手掛かりがない環境において隔離実験を行うと、人は本来約25時間の体内リズムを持っている事がわかりました。しかしながら、私たちの1日は24時間と決められているため、同調因子といわれるもので24時間リズムに適応させているのです。これには太陽光による昼夜の区別が重要な役割を果たしています。

近頃の睡眠事情 No.2

睡眠についてのアンケート結果から


1.たった10%のヒトしか今の睡眠時間に満足していません。

Q1「毎日の睡眠は足りていますか?」

2.睡眠時間も理想と現実の落差がはっきり。

Q2「普段の平均睡眠時間は?」

現実 理想
平日 約 6.5時間 約 7.6時間
休日 約 7.8時間 約 8.2時間
3.ほとんどのヒトが睡眠時間が少ないことに危機感を頂いています。

Q3「睡眠時間は多くないとダメですか?」

4.3割強のヒトがもっと深く眠りたいと思っています。

Q4「眠りの深さに満足していますか?」

5.3割弱のヒトはスムーズに寝付けていないようです。

Q5「寝つきはよいほうですか?」

6.4割のヒトは朝気持ち良く目覚められていません。

Q6「朝の目覚めは良い方ですか?」

資料提供…東洋羽毛工業(株)商品開発部 ホームページ http://www.toyoumo.co.jp/