メンタルヘルス対策 上手にストレスケアしながら
働きたい!! メンタルヘルスケアの考え方と対策について

職場のメンタルヘルス

自殺やうつ病での失業や休職による経済的損失の推計額は、2009年の単年度で約2.7兆円(国立社会保険・人口問題研究所)。この推計額は、その年に自殺で亡くなった方が亡くなられずに働き続けた場合に得ることが出来る生涯所得と、うつ病によって必要となる失業給付・医療給付等の減少額の合計で算出されています。

近年、医療従事者は非常に強いストレスフルな状態で働いているとされ、臨床検査技師の置かれている環境も例外ではありません。現在医療現場では必要なスタッフの慢性的な人員不足による過重労働に加え、労働安全衛生上の課題も多いとされています。その結果、医療従事者の多くが、過重労働とストレスにより、身体はもとより精神的にも疲弊してしまっているのです。こうした状況は日常業務の中の小さなミス〜医療事故を誘発することにもつながり、ある日突然、自分が医療事故の当時者になってしまうことがないとはいえません(日本臨床衛生検査技師会会員の皆様には臨床検査業務を行ったことにより、患者さんなどの第三者に対して賠償事故(賠償金を支払わなければならない事故)を起こした場合、その賠償金を、決められた上限内で保険会社がお支払いする、臨床検査技師賠償責任保険が付帯しています)。

そのような現在臨床検査技師が置かれている職場状況を踏まえ、特に労働環境に関する法的問題に詳しい兼川真紀弁護士早速自分の、そして部下や同僚のメンタルヘルスに取り組んでみませんか?

まずは適切なメンタルヘルス対策を施すのが一番ですが、どうしても休職せざるをえなくなった時の不安も大きいでしょう。(社)日本臨床衛生検査技師会会員であれば、そんな心の病を含めた病気やケガで、もしも働けなくなった場合の所得減少を補てんする保険に団体割引(30%)適用保険料で加入(任意)できます。また、臨床検査技師の業務や労働条件(環境)に関する事柄についても、専門家からアドバイスを受けることができるので、ぜひ活用して!!

専門家に相談してみましょう「困った・・・」ときの法律相談 臨床検査技師のための「所得補償保険」もしも働けなくなったら・・・の不安を解消したい!!
もしも・・・のときには誰でも慌てて、不安になるものです。そうした時にはやはり専門家の意見を聞くのが一番。臨床検査技師の職場での労務問題等々、会員のあらゆる「困った」に応えてくれるサービスを活用しましょう。 「仕事はしたいけど、どうしても働くことができない」。そんな想定は嫌ですが、病気やケガで、長期間働けなくなると、所得が減少してしまう可能性も。その減少分を補てんしてくれる保険があれば、安心して働けます。

メンタルヘルス不調者の増加

メンタルヘルスとは、言うまでもなく、「心の健康」のことです。
毎日の生活で、心の健康を保つのは、けっこう難しいことなのではないでしょうか。多くの人が、いろんなストレスを感じながらも、ときどき息抜きをしながら、心のバランスをとりながら生活しているというのが現状でしょう。

ストレスを抱え込んだままでいると、心は次第に不健康に傾きます。

遅刻が増える、仕事上のミスを繰り返す、出勤できなくなるなど、メンタルヘルス不調といえる状態になったり、さらにははっきりとうつ病と診断される状態になったりします。その結果、休職に至る人も少なくありません。

平成19年に厚生労働省が実施した労働者健康状況調査では、

メンタルヘルス上の理由により過去1年間に
連続1カ月以上休業した労働者の割合⇒0.3%、
職した労働者の割合⇒0.1%

となっています。 調査時期の就業者人口は約6,400万人ですから、全国で27万人が心の病気で休職したり、退職している計算になります。

また、平成20年の一部上場企業を対象とした調査では、

メンタルヘルス不調で
1カ月以上休職している社員がいる企業⇒62.7%、
1社当たりの休職者は平均⇒9.5人、
全従業員に対する比率⇒平均0.5%

となっています((財)労務行政研究所「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」)。

悩みやストレスが高じて、自殺する人も後を絶ちません。

日本の自殺者⇒平成22年は3万1,690人

年間3万人を超えています。人口あたりの自殺者率は米国の2倍、英国の3倍で、ロシアや東欧諸国と肩を並べ、先進国では極めて高くなっています。このうち、

うつ病が原因の一つとなっている人⇒7,020人

約22%でした(いずれも警察庁調べ)。

心が不健康に傾いたとき、人間は元気に働けなくなりますし、自ら命を絶つという事態にも至ってしまうことがあるのです。

1.メンタルヘルス不調者の増加

このような状態は、労災申請の数字にも表れています。 過労死が労災と認定されるようになったのは、そう昔のことではありませんが、現在では、脳・心臓疾患による死亡に関して労災請求されたもののうち、3分の1程度が労災と認定されています(図1)。

厚生労働省「平成21年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況について」より作成

精神障害は、平成11年に厚生労働省が「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針※」を出し、労災として認定されるようになりました。平成21年度の請求は1,136件にのぼり、この3年間で、請求件数が脳・心臓疾患にかかる労災請求の数を上回るようになっています。また請求件数は前年度に比べ209件(22.5%)増加しており、急激に増加しているといえます。このうち労災として認定されたのは234件とまだ20%程度ですが、うつ病による休職者が全国27万人もいる現状からは、請求件数、認定割合ともに増えることが予想されます(図2)。

精神障害等に係る労災請求・認定件数の推移(図2)

厚生労働省「平成21年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況について」より作成

過労自殺による労災請求は、請求が140件、認定が63件と少ないですが、認定割合は45%と高くなっています。自殺の原因の約40%はうつ病といわれており、年間3万人の自殺者のうち1万2,000人がうつ病であり、職場におけるうつが少なくないという状況からすれば、労災申請が増えるのも無理はありません。

精神障害等にかかる労災請求の請求件数を業種別にみてみると、もっとも多いのが「医療、福祉」に分類される「社会保険・社会福祉・介護事業」、次に多いのがやはり「医療、福祉」に分類される「医療業」で、あわせて全体の11%となっています。

医療、福祉の分野は、やはり相当精神的に厳しいところのある職場だということがこの数字にもあらわれていると思います。

※参考:厚生労働省HP「精神障害等の労災補償について」

©兼川真紀(弁護士・インテグラル法律事務所)

プロフィール
かねかわ まき 弁護士
早稲田大学法学部卒業。
日本経済新聞記者を経て1986年弁護士登録。東京弁護士会所属。 著書に「メンタルヘルス法的対応マニュアル」(メンタルヘルス法律問題研究会、共著)があり、メンタルヘルスに関する法的問題のエキスパートでもあります。他にも「弁護士という職業」(中経出版、共著)、「離婚のお金のもらう払うがわかる本」(大和出版)、「成功する事業継承のしくみと技術」(自由国民社、共著)、「成年後見のことならこの1冊」(自由国民社、共著)など、著書多数。
に、働く人のメンタルヘルス、基礎的なこと、回避策などを5回に分けて、アドバイスいただきます。



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